Dencunって何?
cancun-denebの略。イーサリアムの次期アップデート。
cancunが実行層(*1)の、denebがコンセンサス層(*2)のアップグレードで、新しいトランザクション形式や一定時間に処理できるデータ量の向上とトランザクション手数料(以下ガス代)削減案が盛り込まれている。
上記提案の結果、Layer2(以下L2)のガス代が大幅に削減(100分の1から10分の1まで意見は様々)されることが期待されている。
*1:コントラクトの実行や送金を行う
*2:バリデータを管理する、俗にいうBeacon Chain
もっと具体的に
Dencunは下記EIPが盛り込まれている。順番に解説する。
なお、2024年3月時点で最新のSolidityコンパイラであるVersion0.8.24はこのDencunアップデートに対応しており、おそらくまたしばらくはEthreum Mainnet(以下Mainnet)専用のコンパイラになると思われる。
cancun
EIP1153
トランザクション内だけで有効なデータ領域を利用できる。
EIP5656
効率的なメモリコピーの提案、コントラクト実行のガス代削減につながるのだろうか。
EIP6780
EIP7516
BLOB関連のガス代を取得するオペコードの追加。
deneb
EIP4788
ビーコンチェーンブロックルートなるものを扱えるようにするEIP、それができると、例えばステーキング残高などを証明することができるようになる。
EIP4844
今回のアップグレードの大本命。
shard blob transactionという名前の新しいトランザクションタイプを追加する提案。
このトランザクションを利用すると、大量のデータをMainnetに保存することができ、そしてその影響でL2のガス代も安くなると思われる。Rollupのための技術。
コンセンサス層は、blobデータを一定期間で自動削除するロジックを実装できるため、blobデータは定期的に削除され、永久にチェーンに保存されず、データサイズの圧迫を防ぐ運用を行うことが想定される。
EIP7044
署名されたバリデータの自主終了を有効にする。バリデータがネットワークを適切に離脱する権利を保証し、PoS合意の健全性を高めることを目的としている。
EIP7045
トランザクション実行の分散化とスケーラビリティの向上
EIP7514
バリデータへの新規参加数を制限するもの。
ステーキングされるETHの増加ペースを落とし、流動性トークンがもたらす未知の影響の解決策を開発するまでの時間稼ぎらしい。
デメリットはないの?
インフレ懸念
現状、ガス代の一部はバーンされている。
Dencun適用後、ガス代が低減されることによりバーンされるETHの量も減り、結果的にインフレが発生する可能性があると懸念されている。
結局このあとどうなるの?
ガス代が安くなることにより、Mainnet、およびL2やこのあと控えているであろうL3など様々なEtherem系統のチェーンが使いやすくなると思われる。
結果、AAなどを用いたガスレスDappsやゲームなどもリリースされやすくなり、より社会のインフラとして機能していくような気がする。(願望)
参考リンク
イーサリアムのDencunアップデートとは?ガス代やインフレへの影響について解説 | DeFimans
イーサリアムの未来を大きく変える「Dencun」アップデートが迫っています。このアップデートでは、ネットワークスループット*向上、トランザクション手数料の削減、
https://defimans.com/column/イーサリアムのdencunアップデートとは?ガス代やイ/
【EIP4844】Blobで遊ぶ
EIP4844とはblob transactionと呼ばれる新しいトランザクションタイプを導入するEthereumのアップデートです。blobは1個あたり約127KBの容量を持つデータで、calldataよりも安価に利用することができます。
https://zenn.dev/qope/articles/006401c8fe8069
proto-danksharding(EIP-4844)の概要
proto-danksharding (EIP-4844)とは、Ethereumにshard blob transactionと呼ばれる新しいトランザクション形式を追加する提案です。shard blob transactionはblobと呼ばれる新しい形式のデータを持っているトランザクションで、大きなデータをEthereumに安価に公開するために利用できます。
https://zenn.dev/qope/articles/b8d09ae260f1aa
[EIP4844] Shard Blob Transactionsの仕組みについて理解しよう! - Qiita
はじめに初めまして。CryptoGamesというブロックチェーンゲーム企業でエンジニアをしている cardene(かるでね) です!スマートコントラクトを書いたり、フロントエンド・バックエンド…
https://qiita.com/cardene/items/4966cf7f6691d7220367
Proto-Danksharding(EIP-4844) Study
Dankshardingは、Ethereumが真にスケーラブルなブロックチェーンになるための方法で、その達成にはいくつかのプロトコルのアップグレードが必要です。Proto-Dankshardingはその中間ステップです。両方とも、レイヤー2のトランザクションをできるだけ安価にし、Ethereumを秒間10万トランザクション以上にスケーリングすることを目指しています。
https://zenn.dev/kozayupapa/articles/27bbfb8374bf7d
EIP1153 : Transient storageとは
Transient storageとはトランザクションの中で一時的に使われるstorageのことを指し、reentrancy lockでよく使われてます。
https://zenn.dev/0xywzx/articles/daa00b8827bbd0
#64:Ethereum次期アップグレード「Dencun」に新たなEIPが追加、新規ステーキング数を制限 - マネックスクリプトバンク株式会社
今週もマネックスクリプトバンクから、Web3.0界隈の動きをお伝えします。 ※ニュースレターを無料購読していた
https://cryptobk.jp/?p=1836
イーサリアム次期アップグレード「Dencun」の全容決定 | あたらしい経済
「Deneb」アップグレードの内容が決定 イーサリアム(Ethereum)の次期大型アップグレード「デンクン(Dencun)」のうち、コンセンサス層アップグレードとなる「デネブ(Deneb)」の内容が、日本時間6月16日に実施された開発者会議「Consensus Layer Meeting 111」で決定した。 なおイーサリアムは、実行層(EL:Execution Layer)とコンセンサス層(C
https://www.neweconomy.jp/posts/320331
Ethereum Evolved: Dencun Upgrade Part 2, EIP-7044 & EIP-7045 | Consensys
In part two of the Ethereum Evolved: Dencun Upgrade series, we turn our attention to two staking and validator focused upgrades: EIP-7044 and EIP-7045.
https://consensys.io/blog/ethereum-evolved-dencun-upgrade-part-2-eip-7044-eip-7045