はじめに
今回は、株式会社ポケモンが最近公開した特許について簡単に解説+思うところを書きます。
特許の内容はカードゲームのシステム設計そのもので、これからカードゲームを作成する人にとって、とても参考になりそうな内容でした。
特に、一番最初に「デジタルカードに対する思い入れを残す」と記載されていることからも、株式会社ポケモンが何を大切にしているかが読み取れます。
NFTという単語が入っていたので、界隈的にも注目されましたが、あくまで特許であり、確実にこれを作るというわけではないところをお気をつけください。
Web3以外の情報も踏まえた上で、視野広く読んでもらえればと思います。
詳細
特許の概要:
システムの主な特徴:
- 端末装置とサーバーからなるネットワークシステム
- 端末装置は主にスマートフォン、タブレットが想定されている
- カードの使用履歴や対戦結果の詳細な記録
- カードの使用回数、貢献度、勝敗結果などがサーバに記録され、戦歴の振り返りやゲームバランスの調整に利用されると思われる
- 需要によってカードの価格設定も流動的に決定できるかも知れない
- ブロックチェーン技術を活用したカード管理
- NFTによりカードの所有権が厳格に
- 偽物を防いだり、クロスオーバーに利用したり
- ユーザーの感情的側面を考慮したデザイン
- デジタルカードへの愛着形成、思い出の保存
- 成長の実感など
注目すべきところ
カードの進化システム:
使用頻度や成果に基づいてカードが「進化」する仕組みが提案されている。
- ユーザーのカードへの愛着が深まり、ゲーム体験がより豊かになる可能性が出てくる
- 長期的なプレイ動機になる
- カードを育てるあていで小さな目標達成の機会が増える
- ゲームの寿命を伸ばし、持続可能な運営が可能になる
現実世界との連携:
カメラ機能を使用して現実世界の要素をゲームに取り込む機能が示されている。
- AR(拡張現実)技術の活用を示唆しており、デジタルと現実の境界を曖昧にする可能性がある。
NFT(Non-Fungible Token)の活用:
ブロックチェーン技術を用いたNFTの概念が取り入れられており、デジタルカードに真の希少性と固有性を持たせることが可能になる。
ユーザー体験の向上:
この特許は、単なるゲームシステムの改良を超えて、ユーザーの感情的な繋がりを重視している。カードの個別履歴や成績の表示、詳細な対戦記録の保存など、ユーザーの思い出や達成感を強化する機能が多く盛り込まれている。
- ユーザーの好みや戦略に合わせたカードやデッキの推奨機能?
- プレイヤー間の交流促進も視野か
- ブロックチェーン技術を活用したカードの希少性と所有権の保証もここにつながるかも
業界への影響:
この特許はデジタルTCG業界に大きな影響を与える可能性がある。
他の企業も同様の機能を求めてイノベーションを加速させる可能性が高く、結果として業界全体が発展する可能性を持つ。
- もしこれが作られたら、NFTを活用したゲーム設計が一般化する可能性も出てくる。
- カードの二次流通市場が活性化し、新たな収益源となる可能性
- データセキュリティの重要性が増す
結論
ポケモン社のこの特許は、デジタルTCGの未来に対する大胆なビジョンを示している。技術的な革新だけでなく、ユーザーの感情的な繋がりを重視する姿勢は、今後のゲーム開発の方向性を示唆しているといえる。
この特許が実際にどのような形で製品化されるか、あるいは他社がどのようにこれに対応するかは未知数ですが、デジタルTCGの世界がより豊かで魅力的なものになればいいなと。
参考リンク
j-platpat
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-2024-064018/11/ja