本記事について
- ブロックチェーンゲーム、Fusionist(フュージョニスト) についてのリサーチ記事です。
- 2023年12月20日頃にリサーチした内容の一部を記事化しています。※現時点での最新情報ではない可能性があります。
- 想定読者
- Web3マーケターやコミュマネなどのポジションで、「ゲームリリース前のユーザーエンゲージメント施策」の好例を探している方
- 「Fusionist?なんか名前は聞いたことあるな…」というBCGユーザー
Fusionist、盛り上がってますね。
最初のNFTである「Alpha Prestige NFT」を一昨年末にリリースした頃から、目新しい招待システムを基軸にしたエアドロを相当上手くやっていた印象があります。
そうしたエアドロなどで巻き込んだユーザーを、これまたよく練られたエンゲージメント施策でガッチリ掴み続けていたことが、先日の大きな盛り上がりに繋がったのかなと捉えています。
(もちろんゲーム自体の完成度の高さもあるかと思いますが)
本記事では、主にこのエンゲージメント施策の中核である「Endurance」の内容を中心にまとめました。
ゲームの概要
Fusionist
Welcome to future of gaming.
https://www.fusionist.io/
- 開発:Fusion Interactive社
- インゲームは、ターン制のシュミレーションバトル
- バトルシステムとしては、「十三機兵防衛圏」や「ファイアーエムブレム」が近い
- アクション要素は無い
- ガチャでパーツを集めてロボットを組み上げて、5体のロボでチームを組んで戦う
- 「難しいが面白い!」と、多くのプレイテストユーザーから称賛されており、ゲームとしてもよくできている模様
- インゲームの詳細は、この記事↓がすごく詳細に書かれてます
- トークン
- $ACE:ネイティブトークン
- Novaポイント:ゲーム内ユーティリティーポイント。固定レートで$ACEと交換可能
- ACE⇒Nova Points = 1:100
- Nova Points⇒ACE = 100:0.97
時系列整理
- 2022.1:公式Twitterを開設
- 2022.10:Alpha Prestige NFTの配布キャンペーンを開始
当時のリサーチ資料
- 2022.11:Binance IGO launchpadでメカNFTの販売。ゲームプレイ映像が公開
- 2023.1:ユーザーエンゲージメントシステムとして機能していた “Alpha Prestige”を拡張する形で、「Endurance」メインネットや$ACEを公開。
- Enduranceは、EVM互換性を持つFusionist独自のチェーン
- 他社も使える、ソーシャルエンゲージ獲得システムとして今後の運用を予定。
- ここから、ユーザーはせっせと$ACEを掘ったり、毎日の$ACE獲得量を増やすためのアイテムを作ったり…といったコミットを本格化
- 2023.3:PvEからβテスト開始
- 有資格者のみ
- 断続的に実施
- 2023.11:PvPもβテスト開始(12月13日に終了済)
- 2023.12:$ACE がBinanceでローンチパッド実施。
- 「Binance Convert ユーザーは、BTC、USDT、その他のさまざまなトークンに対する ACE 取引を手数料ゼロで行うことができるように」なるなど、Binanceからも厚遇されている。
- OKXにもリスティング
Endurance
- 雑に説明すると、「ゲーム外でACEを掘るためのシステム」
- 2023年1月に公開され、現在も稼働中。
- 掘るための条件や、堀れる量が増加するバフ(BOAT)のような要素が組み合わさって、一つのゲームのようになっている。
- Enduranceで基本的にできるアクションは……(図の左上から順に)
- Ace Fountain
- 24時間に一回、無料で$ACE獲得
- Ace Pump
- 24時間に一回、$ACEを支払うことでより多くの$ACEをランダムで獲得
- Fusion
- αポイントを消費して、ACE獲得
- αポイントは、以前に紹介した Alpha Prestigeキャンペーンの時のもの
- Alpha Prestige
- 24時間に一回、Alpha PrestigeNFT 所有者のみ $ACE獲得
- Quartan Primes
- 24時間に一回、Quartan Primes 所有者のみ $ACE獲得
- Quartan Primesは、STEPNでいうGenesis的なロボ
- Bi-Mech
- 72時間に一回、Bi-Mech 所有者のみ $ACE獲得
- Bi-Mechは、ロボ
αポイントについて公式記事の引用(▶ボタンクリックで展開)
- Enduranceで得る$ACEの量を、BOAT(Bound On-Chain Achievement Token)というアイテムを持っていると増やすことができる
- 非NFT。譲渡取引不可能
- 入手経路は、$ACEで購入する や キャンペーン・ランキングの賞品
- ミントするための条件が存在するものも。
- 招待者数X人以上……など
- ゲーム内でのユーティリティーを持つものも。
- それぞれ発行上限数あり
- BOATの例
- Ace Pumpをした時に掘れる$ACEの量が 0.1 増加
- Ace Pumpをした時に掘れる $ACEの量が、確率で1.5倍に
- Ace Pumpのクールタイムが4時間減少
- αポイントを$ACEに変換する時、確率で1.5倍に
- ガチャを引いた際に、確率でボーナス
- ロボをリペアするコスト -20%
- etc…
- ユーザー登録までの流れが、ノンストレスで良い。
- ウォレット認証したり、Discord登録したり、Twitterフォローさせられたり…と、結構いろろやらされるのだが、誘導が明瞭かつ操作が簡易なので引っかかるところなくサクサク進む
Endurance | The Fusionist's Mainnet with the goal of Engage to Earn
https://ace.fusionist.io/account/boat
- 最近、Nexus Bondというエアドロプログラムもスタート。
- 500万$ACEを、保有しているNFTやBOATに応じて、長期間(2年)にわたって、Endurance上でエアドロし続けるプログラム。
- 大量のエアドロが、2年の間に少しずつ分配される感じ
- 直近fusionist爆益報告してるの多くは、これ
Endurance | The Fusionist's Mainnet with the goal of Engage to Earn
Endurance
https://ace.fusionist.io/nexusbond
考察
- Enduranceの上手さ
- 定期的にアクセスしたくなる仕組み
- 毎日サイトにアクセスしないと掘れないので、NFT所有者などは毎日欠かさずこのゲームを意識し続けることになる
- 宝くじ的な要素を取り入れることで、毎回のアクセスに少しのワクワク感がある
- エンゲージメントの高いユーザーほど、より頻繁にアクセスをさせるようになっているのも良い。
- たとえば、クールタイムを短縮するアイテムを持っているユーザーは、24時間ごとではなく12時間ごとにアクセスする
- 人が人を呼ぶ構造を作れている
- ネットワークビジネス的な、資産の多い知り合いを巻き込みたくなる仕組み
- 成功したalpha prestigeのキャンペーンのスキームを、うまく継承している
- 「なにをしたらもっと儲かるか」が非常に分かりやすい。
- 専用ポータルサイトに情報がまとまっており、一見さんでも何をすればいいかが一目で分かる。
- EnduranceにおいてNFTやBOATを購入した際の費用対効果がわかりやすく、皮算用する楽しさが最大化されている
- 乗算的に効果を発揮するBOATのバフ設計
- 足し算ではなく乗算で$ACEの獲得量が増えることがわかりやすく示されているので、NFTやアイテムなどを一つ獲得すると、もっともっと欲しくなる。
- なにか一つエアドロで入手したユーザーが、毎日それを使って$ACEを掘る中で、効率を上げるために他のNFTやBOATが欲しくなっていく様が、容易に想像がつく
- あらゆる施策の報酬を集約して管理可能
- ソーシャルキャンペーンの報酬も、毎日のコミットも、ゲームプレイの賞品も、全てEnduranceを通じて報いることができ、Enduranceでより多くの$ACEを稼ぐことにつなげられる。
- $ACEを直で配布したりするのに比べてユーザーもよりワクワクすることができ、獲得したユーザーの今後のエンゲージメントも担保可能
- トークン直配布と比べ、配布するものの価値が良い意味でユーザーに透けにくい
分析&文責:黒川 (X:kuro_at_web2)