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KONAMI社のZIRCON調べたよ

ユーザーとゲームを”共創”する試みは、成功するのか
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Kurokawa(Kuro)
💡
本記事について
  • Web3プロジェクト、「PROJECT ZIRCON」 についてのリサーチ記事です。
  • 2024年4月2日時点での情報を元にしています。最新情報ではない可能性があるのでご注意ください。
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プロジェクトZIRCON、みなさんは追ってますか?
ゲーマーならば人生の節目節目で必ずお世話になってきたであろう、あのKONAMI社のプロジェクトです。
思い起こせば、私もKONAMI社には大変お世話になってきました。
遊戯王に生活をジャックされ、「この昼食代でパック3つ買えるな…」と全ての買い物をカードパック基準でしか考えられなくなったり、
パワポケのやりこみで培った野球知識を活かして草野球大会で活躍しようとしたら、バットの握り方がわからず打席で流血事故を起こしたり、
jubeatのやりすぎで指紋が無くなったり…と、思い出をあげればキリがありません。
なんなら最近は、通ってるスポーツジムもKONAMI
そんなKONAMI社がWeb3の領域に初挑戦するプロジェクトであるZIRCONについて、概要を調べたので皆さんにも共有します。
なんとなく気になってたんだよな~という方が、ZIRCONを理解する一助になれば幸い。
  • 記事内容は、主に公式のDiscord・AMA・Twitter・HPなどで公開されている情報を元に構成。
  • ファウンダーのお名前が私と同じ”Kuro”さんですが、私ではないです。なんかちょっと運命感じちゃうね。でもそういう運命補正はかけず、フラットな目線で記事は書いてます。

■ZIRCON

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「Project Zircon」公式サイト
NFTを用いたダークファンタジーワールドの共創プロジェクト「ProjectZircon」始動
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概要

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  • KONAMI 社が2023年9月に発表したWeb3プロジェクト
    • 同社としては初のNFTプロジェクト
    • ファウンダー
      • Kuro
      • Shiro
      • ファウンダー両名はKONAMI社社員。
        • クリプトネイティブとして、Web3領域で本気のチャレンジをしたいと思っていた若手メンバーにより創設されたプロジェクト
    • クリプトに元から親しんでいたKONAMI社員の方が社内で手を挙げて、半個人プロジェクト的に動いている」というイメージが近そう。
      • AMAでは、将来的にKONAMI社としての資産を活用していく展望についても語っていた
  • ゲームをユーザーと一緒に作り上げていくプロジェクト」
    • 最終的には、ゲームやその他メディアで展開していく新規IPにしていきたい
    • まずは世界観・設定などの部分から、ユーザーと作り上げていっている
    • お題目としてこうしたキャッチコピーを掲げているだけではなく、かなり真摯にユーザー共創に向き合っている印象
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  • NFTについては、いまのところはユーティリティベースのものを販売していたりはしない。
    • プロジェクトの核になっていくと思われる キャラNFT は、5月以降に本格的な販売などが始まっていく予定
    • 現在流通しているNFTは、これまでプロジェクトに貢献してきてくれたユーザーに対して無償配布しているものがほとんど
      • 今後のALや特典などについては示唆されているものの、現状では明確なユーティリティーはない
  • NFTの売買はKONAMI社が独自で用意しているマケプレを使用
    • クレカ決済対応
    • ユーザー側は売上を口座振り込みで受け取る形
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リセラ
リセラは株式会社コナミデジタルエンタテインメントが提供する、アイテムの売買を日本円(クレジットカード決済)で行えるサービスです。
リセラ

プロジェクトのフェーズ

  • 大きく4つのフェーズ(0~3)に分けて、プロジェクト進行予定
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  • 現在はフェーズ1
    • ユーザーと、世界観の大枠やそこで登場するキャラなどを考えていく段階
    • プロジェクト視点でいえば、これからのコミュニティのハブになってくれるような存在を探し、育てていくフェイズ…といえそう。
      • と、実際にこのプロジェクトにどういうユーザーが集まって、どういう動きをしてくれるのかを実戦の中で見極めつつ、運営チームとしても経験を積んでいる最中に見える

フェーズ1でやっていることはなんなのか?

  • ZIRCONとプレイバイメールとは、なにが本質的に異なるか?
    • ユーザーが作った世界観や設定をもとにして、デジタルゲームを最終的に制作する…というビジョン
    • NFTという金銭的価値を持つ報酬を、共創にコミットしたプレイヤーに渡す設計

フェーズ1でこれまで実際に起こっていること具体例

  • 国旗の決定
    • ストーリー上、この世界には4つの国が存在しており、各プレイヤーはそのどれかに所属して活動することになる。
      • それぞれの国の活動場所はDiscord内でも分かれており、最初に自分が選択した国のチャットだけが見れるようになっている。
    • ユーザー側で起案・採決された国旗デザインを、KONAMI側が描きなおす形で実装された
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  • キャラクターの設定考案
    • ストーリー上の主要人物となるキャラについて、ユーザー側で設定を決めていった
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  • 二次創作の制作
    • こうして決定した設定に基づいて、イラストや小説といった二次創作をユーザーがDiscord内やXなどに投稿している
    • 二次創作ガイドラインについても公式が提供 https://zircon.konami.net/guideline
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  • ストーリー上の ”各国の選択” をユーザーが協議
    • 公式から提示されたシチュエーションに対して、各国の所属ユーザーが「自分たちの国はどう対処するか」を議論して方針決定。
    • ↓ 下の例ならば、「”鞭打ちの苦行者”という無法者集団が各国に現れた!どう対処するか、3つの選択肢の中から選んでね」というお題が提示された。
  • botの制作 ⇒ 公式イベントでの活用
    • ユーザー主導で制作されたDiscord bot「ジルコン採掘bot」を用いて、公式が賞品付きのキャンペーンを実施
      • 毎日Discord botを使って各ユーザーが採掘(ランダムで一定量のポイントが得られる抽選)をし、4国のうち期間中のポイント量合計が最も多かった国に賞品が渡される
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5月以降の展開について

  • 各参加者は次第に自分のキャラNFTを獲得して、「そのキャラとして振る舞う」といった形になっていきそう?
    • 今は、キャラNFTを所持している人は20人ほどであり、ほとんどのユーザーは”自分のキャラ”は持っていない状態
    • NFT保持者は、そのキャラのプロフィールを自由に記載できるようになっている

コミュニティマネジメント観点での施策など

  • ジルコイン(Discord内ポイント)制
    • コミュニティに対する貢献行動に対して、運営側が個別に評価を行い、それに応じて毎週ジルコインを付与するシステムが導入されている。
      • 毎週0~25コインがもらえる
    • ジルコインを消費することで、様々な特典と交換ができる
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  • 新しくサーバーへ来たユーザーへのオリエン設計
    • 基本的に、ZIRCONに参加したいと思ったユーザーはまずDiscordに誘導されるような導線設計になっている。とても良い。
    • Discordに入ったユーザーは、「案内人的(NPC)な存在からチュートリアルを受ける」体験をするようになっている
      • 具体的な実装としては
        • メッセージごとにチャットの窓を分け、次の窓にいく前にボタンを押させてロール(次の窓が解放されるための権限)を付与
        • 最後の窓でメッセージを読み終えると、最後のロールが付与され、Discord内の様々な窓で閲覧・発言ができるようになる。
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所感

  • ファウンダー・MOD・主要ユーザーのやる気を感じる。
    • つられて、コミュニティの雰囲気としても、活気があって暖かい感じになっている
      • 定性的なコミュニティ貢献評価制度をちゃんと運用していることも、こうした雰囲気形成に寄与していそう
  • “稼げる”といったところにはあまりフォーカスしておらず、また今後もそうした面を押し出していったりはしないと思われる
    • 金銭報酬をメインモチベーションにしないことは、ZIRCONのような、クリエイティブ寄りのアクションをユーザーに強く求めるプロジェクトでは重要なことだと思うし。
  • 現段階では、新規はちょっとコミュニティに溶け込むまでのハードルは高そう
    • まだ綺麗にはまとめられていない設定・背景情報がたくさんあって、それをある程度は読まないと、今メインでコミュニティが楽しんでいる ”設定を考える” という遊びについていけないのは、結構大変。
      • そして、現状ではそれ以外のコンテンツは少ない
      • 今後、少しずつユーザー層を拡大していくにあたって、新規がとっつきやすいコンテンツをどう用意できるか?
  • こうしたTRPG的な”ごっこ遊び”を本気で楽しめる人をどこから連れて来るのか?というマーケティング上の課題はありそう。
    • フィクションに対してきちんと乗っかり切れる…という素養を持っている人にこそ刺さるプロジェクトだと思うので。
    • どちらかというと、そうしたZIRCON適性がある人は、現状のBCG界隈の外側に多いと思っている。今はまだZIRCONの射程に入っていない彼らをいかに引き込み、Web3的要素というハードルを乗り越えてもらうか…が鍵になりそう。
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「大人数でなにか大きなものを作り上げる」「キャラ設定や世界観をじっくり考える」といったことが好きな人にとっては、ZIRCONはワクワクするプロジェクトだろう。
あなたの考えた設定を下敷きにして、多くの人達がその上になにかを積み上げてくれる…というのは、それだけで楽しい体験のはず。
しかも、最終的にはそうしてできあがった設定の束を、あのKONAMIがなにかしらの方法で形にしてくれるやもしれないのだ。エキサイティング。
この記事を読んで面白そうだなと思った人は、きっとZIRCONにハマる素質があると思うので、ぜひDiscordに遊びにいくとよいのでは。
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【Community is game】 「ゲームの世界をみんなで創る」を目標に、その過程を「ゲームのように楽しめる」プロジェクト。 ある「惑星」を舞台にコミュニティ内で勢力に分かれ、クエストをこなしながら世界を創造。今までにない共創体験を一緒に楽しみましょう! 🔗https://t.co/gtuIZBXvFX
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今後プロジェクトがどんな新たな展開を用意しているのか、
そしてZIRCONサーバーに集う有志によってどんな面白いムーブメントが作り出されるのか、私も楽しみにしてます。わくわく。
文責:Kuro
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