本記事について
- ブロックチェーンゲーム、GasHero(ガスヒーロー) についてのリサーチ記事です。
- 2024年1月25日時点での情報を元にしています。最新情報ではない可能性があるのでご注意ください。
前回の記事(https://web3blog.playmining.com/gashero)に大きな反響をいただけて、とても嬉しいです。
「ホワイトペーパーを起点に、GasHeroのゲームデザインを読み解く」という難読かつニッチな記事に、たくさんの方が反応してくれている嬉しさたるや。本当に。
ということで、1章にご好評をいただきましたので、今回はホワイトペーパーの2章 COMBAT を読解していきたいと思います。
先日(1月24日)行われたアップデートの内容にも触れつつ、GasHeroのゲーム設計におけるこだわりや思想に迫っていきましょう。
■WP(English):原文
・https://whitepaper.gashero.com/
■WP(日本語):有志翻訳
・Gas Hero White-paper
・https://kudasai-guild.gitbook.io/gas-hero-howaitopp/shi-jie
■目次
2) BATTLE2-1) RULESバトルの形式分類複数形式があることの意義これまでのゲームにおける「プレイスタイルとインゲーム」の関係性Epic と Legend の凍結についてプレイスタイルとパーティの強さコラム:今後、Wealth Groly Power のどれが重視されるゲームになるか編成が重要なゲームである、ことのメリット2-2) TROOPS戦闘用アセット3種2-3) HEROESRoleのさらなる分類「派閥」についてロール・派閥による”縛り”を作るメリットアセットに関するユーザーの学習曲線
2) BATTLE
2-1) RULES
- インゲームは、一般的なオートバトラー(自動戦闘)である。
- 時間経過でアクションバーが溜まったキャラから動き、相手のチームを全滅させた方が勝ち。
- インゲーム中にプレイヤーが介入できる要素は0。
- 事前に編成をどう作るか…という部分でプレイヤーの腕が出る
インゲームというのは、そのゲームの核になる部分で、アウトゲームはそれ以外の全て。
- ex)1 パズドラ
- インゲーム:パズル
- アウトゲーム:育成、クエスト選択、編成、ガチャ etc…
- ex)2 プロセカ
- インゲーム:音ゲー
- アウトゲーム:育成、ストーリー、編成、ガチャ etc…
- インゲームのためにアウトゲームがあり、アウトゲームのためにインゲームがある。どちらが大事ということではなく、お互いに支え合う関係。
バトルの形式分類
- バトルの形式としては、大別すると3パターンがある
- 単体ボス(≒短期戦)
- 1体の強いキャラと戦う
- ex) クランボス
- 6体編成(≒中期戦)
- 自陣営と同じように6体で構成されるパーティーと戦う
- ex) PvPやパーソナルアドベンチャー
- 無限湧き(≒長期戦)
- 敵を一列倒すごとに後ろから新たな敵が出てきて、どこまで倒せるかを競う
- ex)クラアドやギルアド
- どの形式のバトルに最適化されたパーティーにするか、という点についての戦略性が高い。
- ex1)敵単体をスタンするようなキャラは、単体ボスにはすごく強い。
- ex2)MPを消費して瞬間火力を出すようなキャラは短期戦には強いが、長期戦では途中からMPが枯渇してしまうので弱い。
- ex3)アクションバー(満タンになると行動できる)の初期値を増やすペットを装備していれば、すぐ行動できるので、短期戦に強くなる。
複数形式があることの意義
- 「インゲームのバトル形式が複数あること」、そして「それぞれのバトル形式で適切なパーティーが全く違うこと」は、GasHeroの大きなゲームデザインと非常に深く関わっている。
- GasHeroでは、ゲームにおける稼ぎ方として以下のような3つの 道筋を想定している。
- Wealth:商人・生産者として
- 各アイテムを最高効率で獲得できるようなパーティーを作り、差益で稼ぐ
- Glory:競技者として
- 大会で成績を出せるような強いパーティーを作り、賞金で稼ぐ
- Power:権力者として
- 共同体のリーダーとして君臨し、税金で稼ぐ
- これら3つの道筋をきちんと分岐させることによって…
- メリット
- ①多様な楽しみ方でゲームをプレイできるようにする
- ②アセットに幅広い需要を作る
- プレイヤーの道筋の分岐をより大きくするためには、それぞれの道筋を進む人が大きく違ったパーティー編成をしている状態を目指す必要がある。
- そのために、各道筋を歩む上で最重要になるバトルがどれかを定義し、それぞれのバトルの最適パーティーが異なるように差別化をしている。
- 生産者・商人
- 各アドベンチャーでのバトルが重要
- 競技者
- トーナメントでのバトルが重要
- 権力者
- クランボス戦・クランチーフ戦でのバトルが重要
- まとめると、GasHeroではプレイスタイルをうまく分岐させるために→バトル形式を複数作り→それぞれに最適なパーティー構成を差別化する ことに注力しているといえる。
これまでのゲームにおける「プレイスタイルとインゲーム」の関係性
- これまでもMMO系のオンラインゲームを筆頭に、各プレイヤーごとに全く違ったプレイスタイルでプレイできるゲームを作る という試みは多くのゲームで行われてきた。
- しかし、そうしたゲームのほとんどにおいて、インゲームは競技者に向けてデザインされたものという側面が強かった。
- 極端に言えば、インゲームは競技者のもの、アウトゲームは生産者のもの…といったようなイメージ。
- インゲーム(バトル)を意図的に分割し、各プレイスタイルごとに環境の違うインゲームにフォーカスしなければいけない構造を作ったことに、GasHeroの新奇性がある。
- ⇒たとえば、生産者だからこそ極めなければいけないバトル、生産者パーティーが競技者パーティーより圧倒的に強いバトル…が存在する。
- 「プレイヤーに多様なプレイスタイルを提供する」ことに挑戦しているブロックチェーンゲームの先行事例としては、My Crypto Heros や Star Atlas が挙げられる。
- こうしたゲームについても、GasHeroは参考にしていたり意識しているはず
Epic と Legend の凍結について
- 先日のアップデートで、上位レアリティである Epic・Legendの一時凍結が発表された。
- これにより、全てのプレイヤーはRareまでの資産のみでパーティーを構築することになる。
- (すでにEpic・Legendのアセットを保持しているユーザーには、なんらかの補償が今後行われる予定)
- 前述の プレイスタイルの分岐 という観点から観察すると、この変更をもって運営がなにをしたいかが理解しやすい。
- レアリティの幅が5段階→3段階に変更されたことは、各プレイヤーの選ぶ道筋、「Wealth(富)」「Glory(名声)」「Power(権力)」が分岐することを早める。
- 変更前は分岐点が遠すぎて、”プレイスタイルに応じたパーティー編成をする” という段階に到達するプレイヤーが少なすぎた。
- レア度をどこまでも強くできることにより「レベル(レア度)を上げて、物理で殴る」が大正義すぎて、とにかくレア度を上げることだけが重要になっていた。
- ポケモンでいうなら、対戦でレベル1000000までのポケモンが使えるような状態。
- もしレベル1000000までのポケモンを対戦で使えるなら? 対戦で勝つためにまずやるべきことは、自分なりの作戦を練り上げることや環境理解ではなく、無限のレベル上げ作業だ。
- 今回の変更で、そのレア度向上戦略に制限をかけた。
- ⇒RareやUncommonを使う段階から、どの道筋で強くなりたいかを考える必要が出てきている。
- つまり、縦の成長に制限をかけることで、横の成長に目が向くようにした…ということ。
- レアリティの幅が5段階→3段階になったことは、より各種バトルやキャラに対する理解度が要求される環境になることも示す。
- 極端な例として、レアリティが1段階しかない状態(世界にCommon のアセットしか存在しない場合)を考えると分かりやすい。
- その時、プレイヤーは「どのキャラがどんな時に強いか?」といったことに、もっと向き合うことになるだろう。
プレイスタイルとパーティの強さ
- いくら編成が重要といっても、レア度やアセット量による勝敗影響度は、やはりそこそこ大きい。
- たとえば30万円で組んだパーティーで、60万円で組んだパーティーに勝つことはかなり厳しい……くらいの温度感。
- が、GasHeroは “パーティーの強さ” と ”ゲーム内総資産” が比例しにくいゲーム である。
- 後述する通り、GasHeroは使ったアセットが日数経過で消えるゲームなので、ゲーム内資産のうちどのくらいを”今のパーティー”につぎ込むか…という点が、大きな考えどころの一つになっている。
- よって、プレイスタイルに応じて、「パーティーに使う資産 / ゲーム内総資産」 の比率は大きく異なるだろう。
- Glory寄りのプレイヤー(競技者)は、総資産の大半をパーティーにつぎこみ、少しでもパーティーを強くすることを意識する
- Wealth寄りのプレイヤー(商人)は、パーティーに使う資産は必要最低限にし、より流動性の高い形でアセットを保持することを意識する
コラム:今後、Wealth Groly Power のどれが重視されるゲームになるか
- Wealth Glory Power という3つのモチベーションのうち、どれが重視されるゲームになるか(≒どの道筋を歩むのが有利なゲームになるか)は、時間が経つにつれて徐々に変化していくと思われる。
- 「Wealth(富)」の時代 ⇒「Glory(名声)」の時代 ⇒「Power(権力)」の時代 という順で変化していくのでは
- この変遷は、原始狩猟社会を考えると理解しやすい
- (富)動物をたくさん狩る能力があり、毛皮や肉をたくさん持っているほど良い
- →(名声)各自がより効率的な資産形成をするために、富を獲得する力の高い人間を頂点にして、名声を尺度としたピラミッド構造を形成する
- →(権力)名声ピラミッドをより効率的・有機的に動かすために、権力が必要になってくる
- “安定性” という観点で上記の3つの資産を比べると、 Wealth → Glory → Power の順で、不安定な(獲得しやすく、失いやすい)力である
- Wealthは、どんな状態からであっても獲得しやすい資産。理論上、富を得るためにはどのような後ろ盾も必要なく、持たざるものが最も新規に得やすい資産である。かわりに、一気に失いやすく、失った時になにも残らない。
- ex)成金は金を失えば、一気に社会的に転落しうる
- Gloryは、富があるほど形成しやすい資産。社会が存在する時、富を使って社会にとって良いことをすればその社会の中での名声は得られる。こうした名声を得るための行為の代表例が寄付や慈善活動、あるいは企業活動。名声は、富よりも失いにくい。いわゆる、”腐っても鯛”。
- ex)慈善家であった事実は社会が記憶する限り消えず、インフルエンサーは界隈が死なない限り影響力を持ち続ける
- Powerは、富と名声により形成され、機能する。名声に基づいて権力の範囲が定まり、富に応じて権力の強さが決まる。富と名声の両方をなくさない限り、権力は持ち続けることができる。
- ex) 革命などが起きない限り、権力は減衰しにくい
- 成功した起業家やインフルエンサーが、得た富を社会活動や政治活動に少しずつ使い出すのは、Wealthという不安定な資産を、GloryやPowerというより安定的な資産に変換しているといえる。
- つまり、「不安定なアルトコインで稼いだ人が、その一部を安定した日本円やゴールドにする」みたいなのと本質的には同じ行為。資産を得た人は、それをより安定させようとする。
- 後述する、ゲーム内におけるリセットボタン(GasArk)は、Wealthをリセットするシステム。
- リセットボタンの存在は、Wealth → Glory → Power と、より安定度の高い資産へ資産移転させるための圧力として機能する
- GasHero運営が、こうしたWealth → Glory → Power の資産移転をさせるゲームにしている理由の一つは、GloryやPowerを持っているユーザーはGasHeroから離脱しにくくなるから。
- 資産がWealthだけのプレイヤーは、ゲームやコミュニティから離脱する時の障壁が一切ない。儲からなければ、飽きたら次のゲームやコミュニティにいくだけだから
- 資産がGlory寄りのプレイヤーは、離脱しにくい。GasHero社会で得た名声という資産は、GasHero社会の中でこそ最も活きるものだから。
- ただ、たとえば ”GasHeroで有名になったゲームインフルエンサー” などは、もうちょっと広いゲーム社会にその資産を移転できる。
- 資産がPower寄りになったプレイヤーは、GasHeroと一心同体だ。経済界での権力者も、ギャング社会に放り出されたらタダの人…といった感じで、GasHero世界での権力資産は、GasHeroコミュニティや自分の作った共同体と強く紐づいている。GasHeroからの離脱とは、資産の大半を失うことに等しくなる。
- ゲームが始まったばかりの今は、「名声を得るための社会がなく、権力という形で富と名声を活用するためのピラミッド構造もない」状態。
- なので、そういう原始状態でも得やすく機能しやすい富にフォーカスするしかない。
- つまり、現在のGasHeroはWealthの時代であるといえる。
- これから、社会が作られる(名声が機能する)フェイズが訪れる。Gloryの時代。
- おそらくゲーム内でも、より 社会の形成 にフォーカスした施策・機能が多く実装されだすだろう。
- そして、社会が作られると、権力を振るうための下地と権力を振るう意味が作られていく。Powerの時代。
編成が重要なゲームである、ことのメリット
- 「編成をどうするか」という戦略や情報は、現在でもコミュニティの間で最もホットなトピックの一つになっている。
- STEPNなどでもそうだが、アセット売買戦略については他者に情報を流しづらかった(同じ戦略を取る人が増えると、エッジが消えるから)。
- そのため、アセット売買戦略≒ゲーム戦略になっているゲームほど、コミュニティで話せることが減る。
- 一方、GasHeroではアセット売買戦略とインゲームがある程度分断できているので、インゲームの情報についてはコミュニティ内やSNSで共有しやすい。
2-2) TROOPS
戦闘用アセット3種
- バトルに使うアセットは、ヒーロー、武器、ペットの3種。
- ヒーロー:48種
- 基本となるステータス、スキルを決定
- 武器:8種
- ステータスへのバフ、ヒーローの攻撃範囲・方法を決定
- ペット:4種
- ステータスへのバフ、短中長期戦のどれに最適化するかを決定
- 同じヒーローを使う場合でも、装備させる武器・ペットによって全く違った使い方ができる。
- たとえば
- ナイフとパンダを装備:長期戦でも耐え続ける壁役
- 弓とトレントを装備:相手の前線を即座に崩壊させる攻撃役
- ヒーローごとに適性はあるので、あくまで理論上はだが。
2-3) HEROES
- HEROは48種存在する。
- この48種は、2つの方法で分類ができる
- ①3種類のRole(職業)*各16種
- Tank:タンク
- Damage:ダメージディーラー
- Support:ヒーラー、バッファー
- ②6つのFaction(派閥)*各8種
- Technocrat
- Strength
- Influential
- Wisdom
- Evolutionist
- Spiritual
Roleのさらなる分類
- ゲーム内の表記はないが、スキル・パラメータ傾向・得意武器から、3つのロールはさらに8つの小ロールに分類可能である。
- すなわち小ロールは24種類存在し、各小ロールに2キャラずつ存在している。
- Tank
- HPタンク
- 防御力タンク
- 自己回復タンク
- ダメージ軽減タンク
- シールドタンク
- 回避タンク
- 反射タンク:敵攻撃力依存の反撃
- カウンタータンク:自攻撃力依存の反撃
- Damage
- 低速単体ダメージ
- 低速複数ダメージ
- 高速単体ダメージ
- 高速複数ダメージ
- ヴァンプダメージ:与ダメージ量に応じて回復
- スナイプダメージ:敵後列を狙撃
- コンボ単体ダメージ:確率で2回攻撃
- コンボ複数ダメージ:確率で2回攻撃
- Support
- 即時単体ヒーラー
- 即時複数ヒーラー
- 持続単体ヒーラー
- 持続複数ヒーラー
- 速度バッファー
- 防御デバッファー
- スタン付与:行動不能状態を付与
- デバフ解除
- 基本的に小ロールが同じキャラは、ほぼ同様のスキルパラメータ構成・得意武器を持っている。
- なので、GasHeroには24個のジョブがあり、各ジョブごとに派閥の違う2キャラがいる…という風に考えると、キャラの全体像を理解しやすい。
「派閥」について
- 派閥とは、ヒーローの属性のようなもの。
- 研究者っぽいキャラは Wisdom派閥に所属しているし、異形の姿のキャラは Evolutionist派閥…といった感じで、見た目と派閥は対応しているので覚えやすくはある。
- パーティー内で同じ派閥のヒーローを揃えることによって、ステータスボーナスをかけることができる。
- 全ヒーローが「同じ派閥の味方が1人いるごとに、自身の(特定ステータス)が、XX%増加する。」というスキルを持っており、これが派閥を揃えるボーナスとして機能する
- 各派閥に属する8キャラのロールは偏っている。
- たとえば Strength 派閥には、サポートキャラは一人もいない
- この偏りが、派閥の特徴を作っている。
ロール・派閥による”縛り”を作るメリット
- パーティーを組む時、プレイヤーがまず意識することは以下の①②であり、これがパーティー構成上の実質的な縛りになっている。
- ①ロールをバランスよくすること
- ②派閥をできる限り絞ること
- こうした縛りを導入することの大きなメリットは…
- A) 「どんなパーティー構成が強そうか」を、多くのユーザーが考えやすくなる
- B) プレイヤーそれぞれに必要・不必要なアセットが異なる状態を作れる
(A)
- 数値や計算式を知らなくても、「どんなパーティー構成が強そうか」をユーザーが直感的に考えやすくなる。
- 初心者でも「こういうパーティー組んでみたい!」「この組み合わせは強そう」と思えることは非常に大事。
- あるパーティーが ”強そう” なのか ”本当に強い” のか、それを見極められるほどに研究するユーザーはほぼいない。戦闘計算式を解析してシミュレートしたり、大量のバトルデータを帰納的に分析したりして、本当に強いかどうかを把握するのは、ごくごくごくごく一部のヘビィプレイヤーだけである。
- 特に、GasHeroのように様々なキャラや組み合わせを試すことが難しいゲームではなおさら。コンシューマゲームのように、タダで試行錯誤することはできない。
- 程度の差はあれ、全てのプレイヤーが 強そうか どうかだけでアセットの価値を決めている。そして、結構な数のプレイヤーが「私は、みんなより、本当に強いパーティーを分かっている!」と思っている。
- こうした ”ゲームを楽しくする思い込み” を、いかにたくさんの人に味わってもらえるかが、レベルデザイナーの腕の見せどころである。
- そのための装置の一つが、ロールや派閥の縛りであり、現状とても上手く機能しているといえる。
(B)
- ロール・派閥の制限があることにより、プレイヤーそれぞれに必要・不必要なアセットが異なる状態を作れる。⇒ 取引を活発化させられる。
- 商取引が本質的に活発になるのは、「ある人にとっては必要な資産が、他の人には必要ない」という状態が強くなったとき。
- ❌ みんなが欲しいものを作る
- ◯ Aさんにとっての「欲しい物/いらない物」の差を大きくし、AさんとBさんの「欲しい物/いらない物」基準をできるだけバラけさせる
アセットに関するユーザーの学習曲線
- アセットを揃える優先順位が、明確にヒーロー>武器>ペットであることが、ユーザーに伝わりやすいバランスデザイン・計算式になっている。
- ライトユーザーはまずはヒーローのみに意識を向ければよく、上級者に近づくほど武器⇒ペットに意識を向ける必要がある。ユーザーの学習曲線の設計がうまい。
- 実際に、ほぼ全てのユーザーがこの順序で意識しているのが観測できるので、このデザインは成功している。
- 武器について、ステータス変動量の違いにとどまらず、「攻撃範囲が変わる」という直感的に分かりやすい強みを入れているのが、成功の秘訣の一つ。
- 各ヒーローの特徴や強みを、初心者のうちは分からなくてもあまり差がつかないシステムにしているのも見事。
- レアリティの高いアセットを使うほど、そのヒーローの特徴が際立つようになっている。
- 各ヒーローが7つずつ持つスキルによって特徴が作られるが、低レアのアセットではこのうちのほとんどを覚えない。
- これによって、ユーザーの学習曲線をよりなだらかにしつつ、上級者にとってはキャラの多様性を感じられるようになっている。
- 各アセットのレベルアップ方法の複雑さや縦成長の深さについても、ヒーロー ->武器 -> ペットの順になっており、”ユーザーの学習曲線” への意識が相当高いことを感じる設計。
- 先日(1月24日)のアップデートで、武器やペットについてプレイヤーが早い段階から触れる必要性が増えた。
- これは、「ユーザーが少しずつゲームシステムを理解できる、なだらかな学習曲線」と「武器やペット需要の安定化」の両者を天秤にかけ、後者の側に少しだけ天秤を傾けた…といえるだろう。
■アップデート内容 · We have placed more importance to the Pets. A hero without a pet will receive 100% more damage. If the hero equips with a lower rarity pet, the damage received will still be higher than one equips with a same rarity pet. · We have placed more importance to the Weapons. A hero without a weapon will have 60% less damage. If the hero equips with a lower rarity weapon, the damage created will still be lower than one equips with a same rarity weapon.
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ということで、第2章 COMBATについては以上です。
ゲームとはなにか?を聞かれた時、私は「ゲームとは、現実世界のある側面を抽出したもの」とよく答えます。
たとえば、現実世界の ”収集する” という行為を抽出して、それを現実で行うよりも楽しくしたのが、ポケモンというゲームかなと。
本記事で見てきたように、GasHeroが現実から抽出しているのは、“経済活動を通じたコミュニティ形成” という側面です。
この側面に対して、GasHeroほど真摯に取り組んでいるゲームは、私はまだ見たことがありません。
そんな壮大な挑戦をするGasHeroというゲームが、今後どうなっていくのか。
その挑戦の成否を、楽しみながら最前線で見られることに、とても興奮しています。期待大。
次回、第3章 ASSETS では ブリードやヒーローの寿命システムなどについて重点的にみていく予定。
記事が面白かったら、なにか反応をしてくれると筆者が喜びますのでぜひ。
(PlayMiningの公式Xをフォローしたりしてくれると、さらに喜ぶ)
それでは。